白いカーテンの奥で奏でられる天使の音。
突き刺さった。
心の奥底まで振るわされた。
高鳴るヨンシーのファルセットに興奮を抑えきれず、
なぜかなつかしい場所にいると錯覚した。
4/5 shibuya-AXで行われたSIGUR ROSコンサートで体験した3時間程は僕の中でとても素敵な時間となった。チケットは発売即完売でとても苦労して入手しただけに本当にこの日を心待ちにしていたし、ここで体験した感動が少しでも薄れないうちに日記に残しておこうと思う。
会場の雰囲気は特に普通だったが、僕の前には北欧系っぽい顔つきの外人が3人いて、日本へ来ている北欧系の留学生かなんかなんだろうと思った。shibuya-AXはなぜか初体験で音響はさほど良くないもののハコの大きさとしては適度な感じで良い。仕事を強引に切り上げ、スーツのままで会場に突入。平日の為か他にスーツの人もちらほらいて、少しだけ安心した。
前座にはSIGUR ROSバックバンドの女性4人組が出演し、これまた魅力あるサウンドを聞かせてくれた。小休憩を挟みステージが白いカーテンで覆われた。SEが流しているバックミュージックはエレクトロニックな好みのループサウンドだったため、飽きずに彼らの登場を待つことができた。
takk..が流れ始めて会場はにわかに騒ぎ出し、気付くと白いカーテンにメンバーのシルエットが浮かび上がり鼓笛隊のような軽いバスドラとともに宗教音楽のようなglosoliのリヴァーブギターが響き渡った。白いカーテンの光の中に現れたメンバーはよく見えなかったが、それがまた神秘的で、カーテンに写るVJの映像が会場全体を別世界へといざなっているように思えた。
ノイズのカオスの中、一瞬だけ無音になり、saeglopurのトレモロをかけたピアノが鳴った瞬間は本当にぞっとした。ヨンシーがキーボードを弾きながらファルセットで叫び続ける様は、まるで野生の動物が叫んでいるように思えて不気味だった。
彼らの演奏で一番印象深かったのはNy Batteriとhafssl、そしてPopplagio。
日本公演最終日にも関わらずヨンシーの声の調子は非常に良く、(4/4はかなり声が良くなかったらしいが。)Ny battriでのボーカルは本当に圧巻だった。やっぱりliveは良い。生で聴く彼らの演奏は明らかにCD音源と次元が違いすぎる。バスドラの低音の重さもかなり良い感じで音のバランスが非常によかったし、彼らのセットリストをみると今期のツアーはほとんど曲順、曲とも変えずに演奏しているためか、ライブの完成度が非常に高く素晴らしい。
終盤のhafsslはliveヴァージョンからさらに別アレンジが掛かっており、通常版よりボーカルがかなり長めにとられていて、素晴らしかった。このトラックに関しては、liveヴァージョンのリリースが先日あったが、これはスタジオで再録すべき名曲に変貌していると思う。
心に突き刺さったのはsmaskifaの映像演出。
暗闇に一本の白い線が浮かび上がり、そこにいっぱいの鳥たちが留まっては離れる光景。
深いシンセの音と合間ってリアルに別世界に連れて行かれるんじゃないかと思えるほど現実離れした雰囲気だった。いうなれば母親の体内いる胎児のような、、人間の存在意義を考えさせられるシーン。なんということは無い。ただそういうヴィジョンが脳内に広がっただけ。よくわからない。
こんなlive今まで経験したこと無い。
live後、興奮し感動を覚えた経験は幾度となくあったが、音楽を通して途方もない安らぎとノスタルジー、そして自分を前に押し出してくれる力を与えられた経験は一度も無い。そしてこれからの自分についてどうあるべきか、どう生きていくべきかを考えなければならないような気がした。
到底忘れられないシーン、
アイスランドの魂の叫びが、名残惜しい気分と共に僕の前から過ぎ去り、ギグは終わった。
それと共に今、僕の中で新しい何かが始まったような気がした。
takk Sigur Ros。